京都市役所前駅から徒歩5分ほど。
木屋町二条にある完全予約制の中国料理店「中国菜 Guu(グー)」を9月に訪れました。
2022年9月のオープンで、席はカウンター6席のみ。
「The Tabelog Award 2026 Silver」と「中国料理 WEST 百名店 2026」に選出。
京都でも予約の難しい店です。
オーナーシェフ・宮谷要氏について
腕を振るうのは、オーナーシェフの宮谷要(みやたに かなめ)氏。
滋賀県の出身で、2003年に京都調理師専門学校を卒業しています。
21歳で中国・広州へ渡り、錦帯河飯店で李建柱氏に師事。
広州市内のレストランやインターコンチネンタル香港の「欣圖軒(ヤントーヒン)」などで研鑽を積みました。
日本人としては珍しい、中国政府発行の国家認定調理師資格も取得しています。
帰国後は点心師として活躍し、2020年9月にGuuを設立。
2021年には前澤友作氏の宇宙旅行チームの専属シェフに抜擢され、ロシアでの訓練に同行しました。
そして2022年9月、京都二条に店をオープンしています。
10代で初めて立った香港の厨房が、Guuの原点だそうです。
料理人の熱量、点心の技術、噴き上がる蒸気、素材を瞬く間に炒め上げる炎の音。
その空間をカウンター越しに伝えられる店を目指したそう。
調理は豪快ですが、料理には細かな技術が随所にあります。
なかでも点心は、点心師としての経験があってこその出来でした。
カウンター6席と、開かれた厨房
席はウォールナットのカウンター6席だけ。
目の前が厨房になっていて、中華鍋も蒸籠も手元がそのまま見えます。
テーブルセッティングは、ざくろを描いた皿に翡翠のリングと房飾り。
受け皿は木を花の形にかたどったものです。
9月のおまかせコース
竹炭の揚げパントースト 昆布締め帆立、キャビア
コースは、小さな揚げパントーストから始まります。
竹炭を練り込んだ黒いパンは表面が軽く香ばしく、中には昆布締めにした帆立。
昆布締めによって帆立の甘みが凝縮され、そこにキャビアの塩気がのります。
ひと口で食べられる大きさですが、香ばしさと甘み、塩気が揃っています。
手の込んだスタートでした。
前菜の盛り合わせ
前菜は3品が一度に運ばれてきます。
焼豚とトマトの酢漬け、白鳥をかたどった大根のパイ、そして貝と海月です。
大根を使ったパイの点心
Guuのスペシャリテとして知られる、白鳥をかたどった大根のパイ。
運ばれてきた瞬間は、食べるのが惜しくなるほど繊細な姿です。
中には大根をベースに、林檎とブルーチーズが入っています。
土台には、じゃがいもをペースト状にした生地と、薄く層を重ねた部分が使われています。
食べる際は白鳥の首を折り、層に沿って箸を入れていきます。
サクサクとほどけるじゃがいもの生地に、大根の塩気と林檎の甘み。
そこへブルーチーズのコクが加わり、甘さと塩気を行き来する味わいです。
食材の組み合わせにもGuuらしさが出ています。
焼豚とトマトの酢漬け
焼豚には、トマトの酢漬けを添えて。
焼豚は外側が香ばしく、噛むと肉の旨味と脂の甘みが広がります。
そこへトマトのみずみずしさと穏やかな酸味。
口の中がさっぱりするので、脂のある焼豚でも重たく感じません。
蝦夷鮑、北寄貝、特級海月
蝦夷鮑、北寄貝、特級海月を合わせた、食感の違いが楽しい前菜。
蝦夷鮑にはしっかりとした弾力があり、北寄貝からは貝らしい甘みが広がります。
特に驚いたのが、最高ランクだという海月。
これまで食べた海月の中でも際立って歯応えが強く、噛むたびにコリコリと小気味よい音がします。
鮑や北寄貝とも異なる力強い食感で、海月の印象が変わるほどでした。
海老蒸し餃子、小籠包
大きな蒸籠から登場する、出来立ての点心。
6席分の蒸し物が同時にできる蒸籠が厨房に備えられていて、蓋を開ける瞬間から湯気が上がります。
海老蒸し餃子は、もっちりとした皮の中に弾力のある海老が包まれています。
皮が厚すぎないため、噛んだ瞬間に海老の甘みが口の中ではっきり分かります。
小籠包は薄い皮の中に熱々のスープがたっぷり。
皮を破らないようレンゲに移し、慎重にいただきます。
先にスープ、そのあとから肉の旨味が出てきます。
豆腐とクエの発酵スープ煮込み
クエのアラから取った白湯スープに、クエの身、豆腐、春雨、パクチー、酸菜を合わせた煮込み料理。
酸菜とは、白菜を乳酸発酵させた中国の漬物です。
白湯スープにはクエの旨味が十分に溶け込んでいますが、濃厚すぎる重さはありません。
酸菜の塩気と酸味が加わることで、レンゲを重ねるほど後を引く味になります。
やわらかなクエと豆腐、ちゅるりとした春雨、歯触りの残る酸菜。
最後にパクチーの香りが抜け、口の中が軽くなります。
発酵の酸味は前に出すぎず、クエの甘みを立てるための使い方だと思いました。
鹿児島県産和牛ヒレ肉の紀州備長炭焼き 豆板醤とはちみつ
鹿児島県産の和牛ヒレ肉を、紀州備長炭でじっくりと焼き上げた肉料理。
炭の香りが移ったヒレ肉は、中心までしっとり。
脂の強さではなく、赤身の旨味を楽しめる火入れです。
合わせるのは、豆板醤とはちみつを煮詰めた甘辛いソース。
はちみつの甘さが先にきて、豆板醤の辛味と発酵のコクはあとから。
下には茸が敷かれていて、肉汁とソースを受け止めていました。
ヨシキリザメの鱶鰭と「龍の瞳」の土鍋ご飯
ヨシキリザメの鱶鰭は、濃厚な煮込み仕立てで。
一本一本の繊維がしっかりとしていながら、口に入れるとゆっくりほどけていきます。
煮込みスープにも旨味がしっかり出ています。
この煮込みには、岐阜県産のブランド米「龍の瞳」を合わせます。
大粒のお米はふっくらと炊き上がり、一粒ずつがはっきりしています。
そのままでも甘みがありますが、鱶鰭の煮込みスープをかけるとご飯が濃厚な旨味を吸い込みます。
スープを余さず食べ切ることができます。
蛸の冷やし混ぜそば
もうひとつの締めは、珍しい蛸を使った冷たい混ぜそば。
蛸には心地よい弾力があり、冷たい麺の喉越しも軽やかです。
超火力!Guu特製チャーハン
追加で注文した、Guu特製チャーハン。
この料理が始まると、穏やかだった厨房の空気が一変します。
一般家庭のガスコンロは毎時2,000〜3,000kcalほど。
対してGuuのガスレンジは毎時45,000kcalという超高火力です。
中華鍋を振るたびに店内には大きな轟音が響きます。
強い火力で短時間に仕上げるため、お米は一粒ずつほぐれて香ばしく。
それでいて芯にはしっとりとした甘みが残っています。
具材の旨味と塩気も過剰にならず、最後まで食べ飽きません。
あの火力が香りと食感にそのまま出ているチャーハンでした。
マンゴープリン
デザートの最初は、冷たいマンゴープリン。
なめらかな口当たりで、マンゴーの濃い甘みと果実らしい風味を楽しめます。
コース後半の濃厚な料理のあとに、この冷たさとみずみずしさは嬉しいです。
エッグタルト
続いて、焼き立てのエッグタルト。
小籠包と並ぶ看板の品で、外側のパイ生地は軽くサクサク。
中の卵生地は熱々で、とろりとなめらかです。
卵のコクはしっかりありますが甘さは穏やか。
小ぶりながら、焼き立てならではの満足感があります。
金木犀のお茶
食後は、金木犀の香りをまとった中国茶。
華やかな香りが、温かな茶からふわりと立ち上ります。
エッグタルトの甘さを流して、ここでコースは終わりです。
通常コースと貸切限定の北京ダック
Guuでは昼夜ともにおまかせの1コースで、夜は18時から一斉スタート。
昼営業は6名での貸切に限られ、北京ダックは貸切のときだけ提供されます。
今回は通常のコースだったため、北京ダックはまたのお楽しみ。
訪問時に案内された次回予約は、2030年頃とのことでした。
いつか貸切で訪れ、胸側と背側で異なる皮や脂の味わいも食べ比べてみたいです。
お店情報
| 店名 | 中国菜 Guu(グー) |
| ジャンル | 中国料理 |
| 住所 | 京都府京都市中京区樋之口町467-2 |
| アクセス | 地下鉄東西線「京都市役所前」駅から徒歩5分(約270m)/京阪本線「三条」駅から徒歩6分 |
| 営業時間 | 昼12:00〜(6名での貸切のみ)/夜18:00〜 一斉スタート |
| 定休日 | 日曜・月曜・不定休 |
| 席数 | 6席(カウンターのみ・個室なし) |
| 料金 | 1名20,000円(税別)〜/貸切時23,000円(税別)〜 |
| 予約 | 完全予約制。公式InstagramのDMのみ(電話予約は不可) |
| 支払い | カード可(VISA・Master・JCB・AMEX・Diners)/電子マネー・QRコード決済は不可 |
| 駐車場 | なし/全席禁煙 |
| オープン | 2022年9月17日 |
行く前に知っておきたいこと
- 予約は公式InstagramのDMだけ。電話予約は受け付けていません
- 新規は毎月1日0時から、翌月の残席分のみ。既存客の予約が先に入るため、残席はInstagramの投稿で受付開始前に案内されます
- 夜は18時の一斉スタートで、時刻の変更はできません。遅れた場合は到着した時点からの提供になります
- キャンセル・変更は3日前まで。2日前から当日は、コース料金の全額がかかります
- 北京ダックは貸切のときだけ。昼営業も6名での貸切に限られます
- アレルギーや苦手な食材は必ず予約時に伝えてください。来店してからの相談だと対応できないことがあります
- 香水や香りの強い整髪料は控えるよう案内されています。6席の近さなので、料理の香りを大切にしたいところです
- お子様は13歳以上が目安。コース料理を召し上がれる年齢かどうかで判断されます
中国菜 Guu まとめ
白鳥をかたどった繊細な大根のパイと、轟音を響かせる超高火力のチャーハン。
Guuでは、静かな手仕事と力強い火入れの両方を、目の前で見ることができます。
よかったのは、華やかな見た目や厨房の迫力だけではありません。
特級海月の歯応え、酸菜を効かせたクエのスープ、出来立ての点心など、食べたときの感触まで明確に覚えている料理が続きました。
6席だけのカウンターで、宮谷シェフの調理や会話も間近に楽しめます。
次に訪れられるのはかなり先になりそうですが、年月を待ってでも再び食べたいと思える中国料理でした。