麻布十番駅から1分、赤坂の「思食(おぼしめし)」の姉妹店
麻布十番駅の4番出口を上がって、すぐ。
ビルの2階にある「麻布苑(あざぶえん)」は、26席の小さな焼肉店です。
赤坂の人気高級焼肉店「思食(おぼしめし)」が手掛ける新店舗です。

レンガの壁に、木のテーブル。
焼肉店にありがちな喧騒はなく、隣の会話が気にならない程度の距離が保たれています。
この日の会計は、ひとり1万円でお釣りがくる程度でした。
仕入れ先の名前を黒板に書く本気感
壁の黒板に書かれていたのは、部位名だけではありませんでした。
樺澤商店、田島健次商店。仕入れ先の卸業者の名前が、部位より上に書かれています。
- 黒タン元 3,800円
- 黒タン 2,800円
- 黒タン下 1,480円
- 厚切り特上ハラミ 4,200円
- 静岡育ち シャトーブリアン(雌)100g 3,800円〜
肉屋の名前を出すというのは、その肉屋に対しても、客に対しても、逃げ場をなくす行為だと思います。
この一枚の黒板で、店の姿勢が分かります。
定番メニューはカルビ980円、ロース980円から。
ホルモンは780円前後で、盛合せが1,880円。「塩がおすすめですが味噌も選べます」と添えられています。
メニューの隅に、「外国産のお肉は使用しておりません」という一文がありました。
こういう但し書きを、小さくでも書いておく店は信用できます。
ドリンクメニューは「居酒屋だっけかな?」と錯覚するほど安いです。
アラカルト注文で好きなものを好きなだけ
キムチ盛り 980円
最初に。白菜とオイキムチ、胡瓜の盛り合わせです。
発酵の酸味は強く出ておらず、辛さも穏やか。この後に続く肉の邪魔をしない方向でした。
赤身ヒレ
「さっと焼いてください」と言われて出てきた一皿。
薄めに引かれた赤身に粗塩がのっています。にんにく醤油とともにいただく一品。
網に置いて、色が変わったらすぐ返す。
赤身の香りが立ったところで口に運ぶと、にんにくの香りが後から追いかけてきました。
噛みしめる肉というより、香りで食べる肉です。
黒タン元 3,800円
黒毛和牛のタンの、根元に近い部分。3,800円です。
厚みがあり、断面に細かいサシが見えます。
厚いので、焦らずに両面を焼きます。
噛むとサクッと歯が入り、そのあと脂の甘みがゆっくり出てきました。
タンというと弾力を楽しむものだと思っていましたが、これは違う種類のおいしさでした。
タン下 1,480円
同じタンでも、先に近い部分。1,480円。
タン元のような柔らかさはありませんが、噛むほどに味が出ます。食感が楽しい。
値段の差がそのまま優劣ではない、という分かりやすい例だと思います。
厚切り特上ハラミ 4,200円
この日のいちばんは、これでした。4,200円。
厚みがしっかりあり、断面に細かいサシが網の目のように入っています。
表面に焼き色をつけて、中はロゼで止める。
切った断面から肉汁が出てきて、噛むと横隔膜特有の濃い旨みが広がりました。
脂は多いのに重くならないのは、サシが細かいからだと思います。
銀の朏(ぎんのみかづき)小380円
ご飯は一種類だけ。
メニューには「6年連続日本一 曽我康弘さんの皇室献上米」と書かれていました。
岐阜県下呂市のまん丸屋・曽我康弘さんがつくる「銀の朏(ぎんのみかづき)」というブランド米で、品種は「いのちの壱」。
コシヒカリの1.5倍という大粒が特徴です。
実際、茶碗によそわれた時点で粒の大きさが分かります。
噛むと弾力があり、後から甘みが来る。
焼肉屋のご飯として完全に主役を張れる一杯でした。小380円・中480円・大580円。
特選ロース 1,880円
メニューに★印がついた看板の一品。1,880円。
皿からはみ出す大きさの薄切りが、一枚で出てきます。
さっと焼いて、大根おろしの入ったタレへ。
大判なので脂の量はそれなりですが、くどくなく、おろしが入ることで最後まで軽く食べられました。
追加の肉が1枚1,680円、タレの追加もできるようになっています。
特上レバー 1,280円
1,280円。厚めに切られていて、断面に照りがあります。
しっかり焼くと粉っぽくなりがちな部位ですが、厚みがあるぶん中心を半生で止められました。
臭みはまったくなく、プルッとねっとりとした食感。
レバーが得意でない方でも、この鮮度なら食べられると思います。
シンシン 卵黄タレ
もも肉の中心にある希少部位。
タレに唐辛子と万能ねぎ、にんにくが散らしてあり、卵黄が別に用意されます。
焼いて卵黄にくぐらせると、辛みと甘みが一度にまとまりました。
赤身なのにパサつかず、しっとりしています。
これはご飯が進む味で、銀の朏を頼んでおいてよかったと思いました。
ツラミ 1,080円
頬の肉。1,080円。
細長く引かれていて、脂の筋がまっすぐ通っています。
よく動く部位なので、繊維がしっかりしています。
噛みごたえがあり、噛むほどに味が出る。
柔らかさを競う部位が続いた後だったので、この歯ごたえがちょうどよく感じました。
麻布冷麺 1,180円
締めは冷麺。1,180円。
澄んだスープにもちもちの麺。スープと麺だけの潔い冷麺です。
スープを飲むと、穏やかな酸味の奥に果実のような甘みがありました。
焼肉のあとの口をさっぱりさせつつ、最後の一杯としてきちんと満足感があります。
お店情報
| 店名 | 麻布苑(あざぶえん) |
| ジャンル | 焼肉 |
| 住所 | 東京都港区麻布十番2-1-10 AZABU YOUビル 2F |
| アクセス | 東京メトロ・都営「麻布十番」駅 4番出口から徒歩1分 |
| 営業時間 | 17:00〜23:00(料理L.O. 22:00/ドリンクL.O. 22:30) |
| 定休日 | 日曜・月曜 |
| 席数 | 26席 |
| 予算の目安 | 8,000〜10,000円 |
| 予約 | 可 |
| 訪問 | 2026年8月 |
| この日の会計 | ひとり1万円ほど |
行く前に知っておきたいこと
- 表示価格は税抜。メニューにも黒板にも「別途消費税10%頂戴いたします」と明記されています。会計時の印象が変わるので、頭に入れておくとよいです
- 会計はひとり1万円ほどでした。黒板の品(黒タン元3,800円・厚切り特上ハラミ4,200円)を頼むとここに届きます。定番のカルビ・ロース中心なら、もう少し下で収まります
- 26席と小さい店。ふらりと入れる規模ではないので、予約をおすすめします
- 日曜・月曜が休み。週末に行くなら土曜日です
- 黒板の品は日替わり。この日の黒タン元・厚切り特上ハラミ・シャトーブリアンは、行くたびに内容が変わる可能性があります
- ご飯は「銀の朏」の一種類のみ。小・中・大から選べます
食べてみて
肉の質そのものより、店の姿勢が先に伝わってくる店でした。
仕入れ先の卸業者名を黒板に書き、外国産は使わないと明記し、ご飯はブランド米を一種類だけ置く。
どれも「うちはこれで勝負します」という宣言で、実際に出てくるものがその宣言を裏切りませんでした。
いちばんは厚切り特上ハラミです。
4,200円という値付けは焼肉店としては高い部類ですが、あの厚みと美味しさなら納得できます。
一方で、タン下やツラミのような1,000円台の部位もきちんとおいしい。
高い皿だけが良い店ではなく、価格帯の下のほうまで手を抜いていないのが分かりました。
この日の会計は、ひとり1万円でお釣りがくる程度。
クオリティは高級焼肉なのに、リーズナブルさに驚きました。
また必ず伺いたいですが、すぐに予約が取りづらくなってしまいそうです…!