伊ざき丨中華とイタリアンが交差する、驚きに満ちたイノベーティブ@東京・白金台

伊ざき丨中華とイタリアンが交差する、驚きに満ちたイノベーティブ@東京・白金台

中華×イタリアン、白金台のイノベーティブレストラン 伊ざき

白金台駅から徒歩1分ほど。
白金台STビルの2階に店を構える「伊ざき」は、中華料理とイタリア料理を掛け合わせたイノベーティブレストランです。

店内はカウンター7席のみ。2024年4月のオープンから間もないながら、「食べログ 創作料理・イノベーティブ 百名店 2025」にも選出されています。

料理名だけを見ると、一体どんなひと皿が運ばれてくるのか想像がつかないものも。
それが目の前に現れ、口に運んだ瞬間に、食材や調理法の意外な組み合わせに驚かされます。

おまかせコース

伊崎大策シェフが手がけるのは、旬の食材を取り入れた約14品のおまかせコース。
23,000円 (税込)です。
中華の技法を軸にしながら、イタリアンのソースや香りの組み立て、さらにシェフの故郷である長崎の食材や郷土料理を取り入れています。

この日はノンアルコールで。緑茶もこだわりの丸七製茶のもの。

出汁

コースの始まりは、鶏やハム、きのこ、野菜などから取った温かい出汁。
調味料に頼らず、素材そのものの旨味をじっくりと引き出しているそうです。
口当たりは穏やかですが、鶏やハムを思わせるしっかりとしたコクがあり、身体にすっと染み渡ります。

ハトシ

長崎の郷土料理であるハトシを、「伊ざき」らしく再構築したひと皿。
天使の海老や白イカ、雲丹、ハーブなどを細かくたたいてマリネし、パンで挟んで香ばしく揚げています。

熱々の状態で頬張ると、外側はカリッと軽快。海老や白イカの旨味に雲丹の濃厚さが重なり、ハーブの爽やかな香りが全体を軽やかにまとめます。

上海蟹

続いては、ウイスキーに漬け込んだ酔っ払い上海蟹。
一般的な紹興酒漬けとは異なり、ヴェッキオ・サンペーリを合わせているそうです。
上海蟹の身は甘く、とろりとなめらか。濃密な蟹の旨味とともに芳醇な香りが広がり、余韻まで豊かです。

鮑のゼッポリーニ 上海蟹のソース

ゼッポリーニとは、イタリア・ナポリの伝統的な郷土料理(揚げパン)のこと。
メニュー名から想像していたものと、良い意味でまったく違ったゼッポリーニ。
表面はざっくざく。それでいて生地は重たさがなく、揚げ物とは思えないほど軽やかです。
その中には、むちっと弾力のある鮑が隠れています。
さらに、上海蟹のほぐし身を使ったソースを添えた贅沢な仕立て。生地の香ばしさ、鮑の食感、上海蟹の濃厚な旨味が重なり、ひと皿の中で中華とイタリアンが溶け合っていました。

金目鯛とトマト

勝浦産の大きな金目鯛を、ふっくらと蒸し上げたひと皿。
身は驚くほどふわふわで、繊細ながらも金目鯛らしい脂の旨味が感じられます。
トマトとコラトゥーラを使ったソースに、レモングラスと生姜の香りをまとわせたオイルを合わせています。トマトの酸味と魚醤の旨味、生姜の清涼感が一体となり、金目鯛の甘さを引き立てる仕上がり。
香りの重なり方がとても印象的で、この日のコースの中でも特に好みだったひと皿です。

イクラと島原素麺

長崎県島原の素麺に、筋子から仕立てたイクラのソースを合わせています。
見た目や食材からはクリーミーな味わいを想像しますが、クリームは使っていないそう。
イクラと雲丹のコクを生かしながら、素麺らしい繊細なのど越しもきちんと残されています。
柚子の爽やかな香りが全体を引き締め、後からオイルの芳香がふわり。濃厚さと軽やかさを併せ持つ、印象深い素麺料理でした。

チーズ白湯

「チーズ白湯」という名前からは想像できない、豪快なフカヒレステーキが登場します。
使われているのは、特大のモウカザメのフカヒレ。表面を香ばしく焼き上げ、鶏白湯とチーズを合わせた濃厚なソースでいただきます。
フカヒレはそのまま味わっても存在感がありますが、チーズ白湯を絡めると、まろやかなコクが加わってさらに濃密に。

添えられたお米とソースを合わせれば、リゾットのような楽しみ方もできます。

カシスオレンジ

肉料理を前に、カシスオレンジをイメージしたグラニテでひと休み。
カシスの甘酸っぱさとオレンジの爽やかな香りが広がり、どこか親しみのあるカクテルの味わいを、すっきりとした氷菓で表現しています。
濃厚なチーズ白湯の後に心地よく、口の中を軽やかに整えてくれました。

和牛とトランペット茸

やわらかな肉質と上品な脂の甘さを楽しめる和牛に、香り高いトランペット茸を合わせています。
ハーブと中国の熟成酢を使ったソースは、爽やかさの中に深いコクがあり、思わずもう一口と手が伸びる味わい。
熟成酢の酸味が肉の旨味を引き締め、後味は意外なほど軽やかです。

たまご炒飯

締めは、たまご炒飯とマッシュルームパスタ。どちらかひとつではなく、両方いただくこともでき、それぞれ量を選べます。
たまご炒飯は、卵と葱を中心に仕上げたシンプルなもの。まずはそのまま、途中からアンチョビと干し海老を使ったXO醤を加えていただきます。
XO醤を合わせると、魚介の旨味と塩気が加わり、味わいが一変。端正な炒飯から、ぐっと力強い締めへと変化します。

マッシュルームパスタ

マッシュルームパスタは、マッシュルームをじっくり煮詰めて作ったソースが主役。凝縮されたきのこの香りと旨味を生かしながら、オイルベースでさらりと仕上げています。
中華の炒飯とイタリアンのパスタを続けて味わえるのも、「伊ざき」ならではの楽しさです。

パンナコッタ

デザートは、お茶の香りを移したパンナコッタ。
なめらかなパンナコッタに、栗のココナッツソースを合わせています。口に入れた瞬間からお茶の香りがしっかりと広がり、栗の穏やかな甘さとココナッツのまろやかさが後を追います。

フィナンシェ

最後は、焼きたてのフィナンシェ。
鈴カステラを思わせる、ころんとしたかわいらしいサイズです。温かな生地からはバターの香りがふわりと立ち上がり、外側は香ばしく、中はしっとり。
コースの余韻に浸りながらいただく、うれしい締めくくりでした。

中華でもイタリアンでもない、「伊ざき」という料理

「伊ざき」の料理は、長崎の郷土料理や食材、中華の技法、イタリアンらしい香りやソースの構成が、一皿ごとに異なるバランスで取り入れられています。
料理名から想像していたものとはまったく違うひと皿が現れることも多く、その驚きがコースの楽しさにつながっていました。それでいて奇抜さだけに走らず、どの皿にもきちんと「美味しい」と感じられる軸があります。

次はどんな食材が、どんな料理になって登場するのだろう。そんな期待を最後まで途切れさせない、自由で完成度の高いコースでした。

店舗情報

伊ざき

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