武蔵小山駅から歩いてすぐ、パルム商店街の一角にある「YAKITORI&Wine Shinori(シノリ)」へ。
フレンチ出身のシェフが焼く串と、季節の野菜やジビエを使った料理を、自然派ワインとともに楽しめるお店です。
料理はおまかせのストップ制。
焼鳥を中心にしながら、フレンチの技法を取り入れた小皿料理や野菜料理が間に入り、一般的な焼鳥コースとは少し異なる流れで進んでいきます。
黒板には「逸品6品〜/焼物6品〜 ¥6,000〜」とあり、仕込みによって内容が変わるとのこと。
この日は「ジビエ始まりました」の文字も出ていて、追加の〆にミニしょうゆラーメンとミニスパイスカレーが選べるようになっていました。
Shinoriでは、串の仕上げにビネガーを薄く塗り、肉の部位や合わせるワインによって酸味を使い分けているそうです。
今回のコースにも、タプナード、発酵トマト、フィンガーライム、ピクルスなど、酸味や香りを生かした組み合わせが随所に登場。
鶏の脂や旨味をしっかり感じさせながら、次の料理へ軽やかにつないでいく構成が印象的でした。
Shinoriのおまかせコース
自家製パテのオープンサンド
始まりは、自家製のパテをのせたオープンサンド。
厚めに切ったパテには、ピスタチオが混ぜ込まれており、ピンクペッパーがアクセント。
パテの脂と塩気に、ピクルスの酸味と香草の青い香りが重なります。
クレマンと合わせると、いきなりビストロにいるような気分になりました。
ささみ タプナード
最初の串は、ささみにタプナードを合わせたShinoriの定番。
淡白なささみに、タプナードの塩気とオリーブのコク。
ささみの繊細な味わいを消すことなく、ひと口目から輪郭のある味に仕上げられていました。
ももとスネのねぎま
続いては、ももとスネを使ったねぎま。
同じ串の中で、もものジューシーさとスネの締まった肉質を味わえます。
間に挟まれたねぎの甘みが鶏の旨味を受け止め、部位による食感の違いも楽しめました。
百合根、栗かぼちゃ、アマランサス、フィンガーライム
ほっくりとした百合根に、栗かぼちゃをペースト状にしたものとアマランサスを合わせた季節のひと皿。
百合根と栗かぼちゃが持つ穏やかな甘みに、アマランサスの細かな食感が加わります。
ハツ
発酵させたトマトに漬けてから焼き上げたハツ。
ハツらしい弾力はありながら、口当たりはやわらか。ハツの血臭さを軽減し、トマトの感じがかすかに感じられます。
生春巻き
生春巻きの中には、ロースハム、ブラータチーズ、キャロットラペ、茗荷のピクルス。ツナソースを合わせた、具だくさんの一品です。
ロースハムとツナソースの旨味に、ブラータチーズのミルキーなコク。そこへキャロットラペと茗荷のピクルスが酸味と香りを加えます。
ビストロ料理のような楽しさがありました。
つくね
表面の香ばしさと、内側のふっくらとした食感を楽しむ、焼鳥らしい一本です。
変化のある料理が続いたあとに、炭火で焼いた鶏の味へ意識を戻してくれます。
新牛蒡の豚巻き
新牛蒡は、あらかじめ蒸してから豚肉を巻いて焼いているそうです。
牛蒡特有のえぐみはなく、中はほくほく。噛むほどに土の香りが穏やかに広がり、豚肉の脂がその風味を包み込みます。
下ごしらえによって素材の印象が大きく変わる、野菜の扱いが光る一本でした。
焼き春菊、牡蠣のタルタル
焼いた春菊に、牡蠣のタルタルを合わせて。
火を入れることで香りが立った春菊に、牡蠣の濃厚な旨味が重なります。
春菊のほろ苦さが牡蠣のコクを引き締め、野菜料理でありながら余韻の長い一皿です。
レバー
レバーはタレで。プルンと濃厚でなめらかです。火の通り方も好みでした。
紅芯大根のじっくり焼き
鮮やかな色合いの紅芯大根を、時間をかけてじっくりと焼き上げています。
水分を残しながら火を入れることで、紅芯大根の甘みがじわりと広がり、ほくほく感も感じられます。
真鴨
前日に締めたばかりという利根川の真鴨。
赤身には野性味のある濃い旨味があり、脂は重たさを残しません。
鮮度の良さもあってか香りは澄んでいて、噛むほどに鴨らしい味わいが広がります。
秋から冬にかけてジビエも扱うShinoriらしい、この季節ならではの一品でした。
くび
くびは、噛んだ瞬間に脂がじゅわっと広がる一本。
しっかりとした旨味がありながら、肉質はしなやかです。脂の豊かさだけではなく、首肉らしい細かな筋肉の食感も楽しめました。
トマトの豚巻き
熱を入れたトマトの果汁感と、豚肉の脂を一緒に味わう串。
口の中でトマトがほどけると、酸味が脂をすっと軽くしてくれます。
シンプルな組み合わせですが、温度と水分まで含めた一体感が印象に残りました。
砂肝
砂肝は、心地よい歯切れを楽しむ一本。
それまでに登場したやわらかなハツや脂の豊かなくびとは異なり、きりっとした食感がコースに変化をつけます。
アッシ・パルマンティエの春巻き
フランスの家庭料理、アッシ・パルマンティエを春巻きに仕立てた一品。
牛肉の煮込みを包んで揚げており、皮は軽く香ばしく、中からは煮込んだ肉の深い旨味が広がります。
本来は挽肉や煮込み肉とじゃがいもを重ねて焼く料理ですが、それを春巻きという気軽な形に置き換える発想が楽しい。
焼鳥の途中に入っても違和感がなく、フレンチ出身のシェフならではの一品です。ワインが進みます。
手羽
手羽は、皮の香ばしさと肉のジューシーさを一緒に楽しめます。
骨のまわりにある肉の旨味が濃く、部位の持ち味を素直に引き出した仕上がりでした。
蓮根
野菜の串から蓮根。
輪切りのまま炭火にかけ、穴のふちに焼き色がついています。
しゃきっとした歯触りが残る火の入れ方で、噛むと蓮根の甘みが出てきます。
脂の多い串が続いたあとに挟まると、口の中が軽くなりました。
膝なんこつ
膝なんこつは、こりこりとした歯応えが主役。
ひと口ごとに炭火の香りが広がり、コース後半でも重さを感じさせない軽快な一本です。
皮
串の最後は、カリカリに焼き上げた皮をタレで。
余分な脂を落としながら香ばしく焼かれ、凝縮した鶏の旨味を感じます。
甘辛いタレに山椒の香りが重なり、余韻はすっきり。脂のある部位を最後まで軽やかに食べさせる組み合わせでした。
スパイスカレー
締めは追加で。
スパイスの香りが立ち上がり、料理の印象をがらりと切り替えます。
焼鳥店の締めとしては意外性がありながら、お洒落で本格的な味わいでした。
醤油ラーメン
醤油ラーメンもいただきました。
醤油の香りを軸にしたスープで、串を重ねたあとでもするすると食べ進められます。
カレーの力強い香りとは対照的で、最後は温かなスープで落ち着いて締めくくることができました。
3本の中から1本を選ぶ、奥様のワイン
Shinoriのワインは、奥様が料理に合わせて選んでくださいます。
そのときの料理に合う3本を並べて見せてくれて、そこから1本を選ぶという形。ラベルを眺めながら選ぶ時間そのものが楽しく、任せきりでも自分で決めきりでもない、ちょうどよい距離感でした。
始まりはアルザスのクレマン「ゲシクト ブリュット・ナチュール」。
ドザージュを加えないぶん甘さに寄らず、ささみやねぎまといった軽い串から合わせやすい泡でした。
白は、ロワールのシュナン・ブラン、アルザスのクラインクネヒト「フルール・ドール」、オーストリアのマルクス・アルテンブルガー「シャルドネ・フォム・カルク」の3本。
産地も品種もばらばらで、並べて見せられるとかえって迷います。
選んだのはクラインクネヒトの「フルール・ドール」。
グラスに注ぐと少し黄色みがかっていて、アルザスらしい果実の厚みがあります。ハツや生春巻きのあたり、酸味を使った料理が続く場面によく合いました。
後半の赤も同じように3本。
アド・ヴィヌムの「ライフボート」、ドメーヌ・デ・ソネットの「ピエ・ド・ムートン」、ジュスタン・デュトレーヴの「ボジョレー サン・テティエンヌ・ラ・ヴァレンヌ 2023」という並びでした。
選んだのは「ライフボート」。
渋みが立ちすぎず、真鴨やくびのような濃い部位にも、砂肝のような軽い部位にも寄り添ってくれます。串の仕上げに塗るビネガーの酸味とも喧嘩しません。
この日いただいた6本を並べておきます。同じものが手に入るとは限りませんが、造り手を辿る手がかりにどうぞ。
この日出してもらったワイン
◎が実際に選んだもの。3本ずつ見せてもらった中から1本を選ぶ形でした。
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- 1 ◎ ゲシクト クレマン・ダルザス ブリュット・ナチュール 1杯目。ドザージュなしで甘さに寄らない泡 楽天市場で探す
- 2 シュナン・ブラン(ロワール)2022 白の3本のうちの1本。ラベルから造り手までは読み取れず
- 3 ◎ クラインクネヒト フルール・ドール 選んだ白。果実の厚みがあり、酸味を使った料理に合わせて 楽天市場で探す
- 4 マルクス・アルテンブルガー シャルドネ・フォム・カルク 白の3本のうちの1本。石灰質の畑のシャルドネ 楽天市場で探す
- 5 ◎ アド・ヴィヌム ライフボート 選んだ赤。渋みが立ちすぎず、濃い部位にも軽い部位にも 楽天市場で探す
- 6 ドメーヌ・デ・ソネット ピエ・ド・ムートン 赤の3本のうちの1本 楽天市場で探す
- 7 ジュスタン・デュトレーヴ ボジョレー サン・テティエンヌ・ラ・ヴァレンヌ 2023 赤の3本のうちの1本。ガメイ 楽天市場で探す
お店情報
| 店名 | YAKITORI&Wine Shinori(シノリ) |
| ジャンル | 焼き鳥、ビストロ |
| 住所 | 東京都品川区小山3-25-14 2F |
| アクセス | 東急目黒線「武蔵小山」駅から約130m(徒歩1分) |
| 電話 | 03-5749-3144 |
| 営業時間 | 18:00〜23:00 |
| 定休日 | 火曜(祝日の月曜、そのほか不定休あり) |
| 席数 | 18席(カウンターあり) |
| 予算の目安 | おまかせストップ制/逸品6品〜・焼物6品〜で6,000円〜(仕込みにより変動) |
| 予約 | 予約可(貸切は20人以下) |
| 支払い | カード可(VISA・Master・AMEX・Diners)/電子マネー・QRコード決済は不可 |
| 駐車場 | なし |
| オープン | 2010年10月15日 |
行く前に知っておきたいこと
- 料理はおまかせのストップ制。お腹の具合を見ながら止められるので、量の調整がききます
- 目安は6,000円〜(逸品6品〜+焼物6品〜)。仕込みによって内容も金額も変わります
- ワインは奥様が3本見せてくれて、そこから1本を選ぶ形。好みを伝えれば寄せてもらえます
- 〆は追加で選べます。ミニしょうゆラーメンとミニスパイスカレーがありました
- 秋から冬はジビエが入ります。この日は真鴨。訪れる時期で内容が変わります
- 未成年の方は入店できません(おまかせのコースのみのため)
- 火曜が定休で、不定休もあります。武蔵小山駅から徒歩1分と、駅からはとても近いお店です
- 支払いはカードのみ(電子マネーとQRコード決済は使えません)
Shinori まとめ
鶏や野菜の持ち味を中心に置きながら、酸味や香りを細かく重ねることで、それぞれの料理に明確な表情を与えており、ついワインが進んでしまいました。
焼鳥の間には、季節野菜や生春巻き、アッシ・パルマンティエの春巻き、真鴨が入り、最後にはカレーとラーメンまで。
料理数は多くても流れに強弱があり、最後まで飽きずに楽しめるコースです。
焼鳥とワインを軸にしながら、季節の素材とフレンチの技術を自由に取り入れるShinori。
訪れる時期によって野菜やジビエの内容も変わるため、季節を替えてまた伺いたくなる一軒でした。
なお、料理はおまかせのストップ制です。
予約方法や営業日、利用時の案内は変更される場合があるため、来店前に最新情報をご確認ください。