銀座 しのはら|ミシュラン二つ星、篠原武将氏が紡ぐ華やかで温かな日本料理@東京・銀座

銀座一丁目駅からすぐ、銀座二丁目のビルの地下にある日本料理店「銀座 しのはら」へ。
これまでにも華やかな八寸や太巻き、フォアグラの最中といった印象深い料理をいただいてきましたが、季節が変わればコースの表情も大きく変わります。今回は冬の訪問。雪景色を表現した八寸をはじめ、脂ののった鰤や虎河豚、鱈の白子、ツキノワグマ、すっぽんなど、冬ならではの食材が登場しました。

黒い盆に敷き詰めた氷と雪玉、松や赤い実をあしらった12月の八寸の設え
12月の八寸「雪まろげ」。器も設えも雪景色で

過去2回の訪問記事もあわせてどうぞ。

あわせて読みたい
【銀座しのはら】四季を感じる居心地の良い日本料理@銀座 ミシュラン2つ星の予約困難店 銀座しのはら ミシュラン2つ星、食べログゴールドの日本料理「銀座しのはら」。 本当は4月に伺う予定だったのですが、行き違いがあり8月...
あわせて読みたい
【銀座しのはら】ホスピタリティ抜群!旬の食材が彩る美しい日本料理@銀座 ホスピタリティが素晴らしい予約困難店 銀座しのはら 美しい八寸や大将の気遣いが素晴らしく、なかなか予約が取れない日本料理【銀座しのはら】。 1年ぶり、2度めの訪問...

目次

滋賀から銀座へ。篠原武将氏が紡ぐ日本料理

店主の篠原武将氏は、1980年滋賀県湖南市の生まれ。大阪の「熊魚菴たん熊北店」や京都の「山玄茶」などで研鑽を積み、27歳で独立しました。
最初に自身の店を構えたのは、故郷である滋賀県湖南市。周囲に田畑や住宅が広がる場所でありながら、その料理を目当てに全国から客が訪れる店となり、9年ほど営んだのち2016年に銀座へ移転しています。

『ミシュランガイド東京2026』では二つ星。
食べログでも「The Tabelog Award」のGoldを2024年から3年連続で受賞しています。

篠原氏の料理から感じられるのは、京都で培った端正な日本料理の技術だけではありません。
故郷・滋賀の里山を思わせる山菜や川魚、野趣のあるジビエも取り入れながら、日本の季節や行事を料理の中に描いていきます。なかでも象徴的なのが、月ごとに趣向を変える八寸。器や草花、盛り付けまで含めて季節の情景を表現し、ひと皿の中に日本の文化や物語を映し出します。

大きな鍋を客同士で囲む料理も、しのはららしさを感じるもの。
同じ料理を分かち合いながら、その場に集まった人たちがひとつになる「一座建立」の考えが息づいています。

温かさのある銀座のカウンター

白木のカウンターの向こうで、巻き簀を使って太巻きを巻く篠原大将
目の前で太巻きを巻いてくれます

店内には白木のカウンターが13席広がり、老舗の日本料理店らしい凛とした空気が漂っています。
一方で、過度に緊張させる雰囲気ではありません。篠原大将は料理や食材について丁寧に説明しながら、客との会話も楽しませてくれます。

その日の食材や季節の風習を語る姿からは、料理を味わうだけでなく、その背景まで持ち帰ってほしいという思いが伝わってきます。
一品ごとの完成度はもちろんですが、大将を中心に生まれる温かな空気も、何度も訪れたくなる理由のひとつ。今回も華やかさと親しみやすさが同居する、しのはらならではの時間を楽しみました。

冬のおまかせコース

グラスに注がれた淡いオレンジ色のノンアルコールスパークリングと、NIKI Hills Winery のボトル
この日はノンアルコールのスパークリングで

この日合わせたのは、北海道・仁木町の NIKI Hills Winery がつくるノンアルコールのスパークリング「FRUITY WEEKEND」。
アルコール分0.00%で、淡いオレンジがかった色合いです。日本酒もワインも揃うお店ですが、飲まない日でもきちんと一杯を用意してくれるのはありがたいところでした。

この日の一杯

同じ銘柄が手に入らないこともありますが、造り手の目星をつける手がかりにどうぞ。

PR|この記事にはアフィリエイトリンクを含みます

  1. 1 NIKI FRUITY WEEKEND(ノンアルコール・スパークリング) NIKI FRUITY WEEKEND(ノンアルコール・スパークリング) 北海道・仁木町/NIKI Hills Winery アルコール分0.00%。この銘柄そのものは通販で見つけられませんでした NIKI Hillsのワインを探す

12月の八寸「雪まろげ」

砕いた氷の上に置かれたガラスの器と、松や紅葉をあしらった八寸の寄り
氷と雪玉、松に紅葉。器ごと冬の景色になっています

コースの始まりを飾るのは、しのはらを象徴する八寸。今回のテーマは「雪まろげ」です。
雪まろげとは、雪を転がして丸く大きくしていく雪遊びのこと。冬の季語でもあり、器の中には雪景色を思わせる情景が広がっています。砕いた氷の上に雪玉を置き、松と赤い実、色づいた葉をあしらった設えは、運ばれてきた瞬間に声が出る華やかさでした。

ガラスの角皿に少量ずつ盛られた八寸。黄色い葉形の器、竹の器、サーモン、菜の花など
一人前はガラスの器で。少量ずつ、味も食感も違います

いただいたのは、青味大根の金山寺味噌添え、数の子、菜の花の胡麻和え、漬けチーズの小鰹まぶし、サーモンと黄身酢。
少量ずつ盛られた料理は味も食感も異なり、ひと品ずつ箸を進めるたびに印象が変わる八寸でした。

ただ、入店から八寸が始まるまで20分ほど時間がかかったので、もう少し提供が早いと嬉しかったです。

渡り蟹のブランデー醤油漬け

青磁の小皿に盛られた渡り蟹の脚と、上にのせた濃いオレンジ色の内子
渡り蟹を、ブランデーを加えた醤油だれに漬けて

渡り蟹を、ブランデーを加えた醤油だれに漬けた一品。蟹の身からは濃厚な甘みが感じられ、味噌のコクもしっかり。
そこへブランデーの芳醇な香りと醤油の旨味が重なります。味わいは濃厚ですが、酒の香りによって重たくなりすぎず、蟹の余韻が長く続きます。

海老芋の唐揚げ

色絵の小皿にのせた四角い海老芋の唐揚げ。表面に焼き色がつき、断面には層になった繊維が見える
四角く切った海老芋を唐揚げに

続いて、海老芋の唐揚げ。四角く切った海老芋の表面にこんがりと色がつき、断面には層になった繊維が見えます。
海老芋は里芋の仲間「唐の芋」を、7〜8月に何度も土寄せして育てたもの。海老のように反った形と縞模様が名前の由来で、京都・大阪・兵庫の伝統野菜に認定されています。旬は11月から1月にかけて、まさに今の時期です。

鰤の味噌幽庵焼きと大根の柚子釜

絵付けの器にのせた柚子釜。くり抜いた柚子の上に薄切りの大根がのっている
柚子をくり抜いた器に、大根を蓋のようにのせて

脂ののった鰤を味噌幽庵焼きにし、大根とともに柚子釜へ。蓋を開けると、温かな湯気とともに柚子の清々しい香りが立ち上がります。
鰤はふっくら、豊かな脂と味噌のまろやかな甘みがよく合います。大根には鰤の旨味が染み込み、噛むほどに出汁がじんわり。柚子の香りが鰤の脂を軽やかに整え、冬らしい温かさを感じる料理でした。

太巻き

巻き簀の上に広げた海苔とシャリに、雲丹、イカ、胡瓜などの具材を並べたところ
巻く前。雲丹がたっぷり並びます

しのはらを代表する料理のひとつ、具材をたっぷりと巻き込んだ太巻き。
今回は赤身、中トロ、アオリイカ、胡瓜、大根、べったら漬け、玉子真薯、雲丹が使われています。大将が目の前で巻き上げ、厚く切ったものを手渡しで。

色絵の角皿にのせた太巻きの断面。雲丹、玉子、赤身、胡瓜などが詰まっている
断面はこのとおり。べったら漬けを添えて

これだけ多くの具材が入っていながら、それぞれの味や食感が埋もれません。
ひと口の中でさまざまな風味が広がる、贅沢な太巻きです。

豊後水道の鯖、瀬戸内の赤貝

兎をかたどった白い器に盛られた鯖と赤貝のお造り。色づいた葉と山葵を添えて
兎の器に、豊後水道の鯖と瀬戸内の赤貝

お造りは、豊後水道の鯖と瀬戸内の赤貝。冬の鯖は脂がのりながらも身が締まり、なめらかな脂の甘みと鯖らしい旨味をしっかりと感じられます。
赤貝は肉厚で、噛むと小気味よい歯応え。磯の香りとほのかな甘みが広がり、鯖とは対照的な食感を楽しめました。

真鯛と東寺湯葉のお椀

黒い椀に、焼いた真鯛と東寺湯葉、蕪のみぞれ仕立ての出汁
蕪のみぞれ仕立てに、真鯛と東寺湯葉

澄んだ出汁に真鯛と東寺湯葉を合わせ、砕いた蕪のみぞれ仕立てに。東寺湯葉の中には、鱈の白子と海老のすり身が包まれています。
端正な出汁に真鯛の旨味が溶け込み、蕪のみぞれがやさしい甘みと柔らかな口当たりを加えます。湯葉の内側から現れる白子はとろりとなめらか。海老の甘みと弾力も加わり、穏やかな見た目以上に味わいには奥行きがあります。

虎河豚の竜田揚げ

黄色い器に盛られた虎河豚の竜田揚げ、蓮根のチップとレモンを添えて
虎河豚は香ばしい竜田揚げで

虎河豚は、香ばしい竜田揚げに。衣は軽やかに揚がり、中の身は弾力がありながらもふっくらしています。
噛むほどに虎河豚の淡泊な身から旨味が現れ、衣の醤油の香ばしさとよく合います。シンプルですが、この日一番印象に残りました。

あんぽ柿とフォアグラの最中

手のひらにのせて差し出された、貝の形の最中にフォアグラとあんぽ柿を挟んだ一品
しのはらの定番、フォアグラ最中。手渡しで

しのはらの定番料理、フォアグラ最中。香ばしく軽い最中に、フォアグラとあんぽ柿を挟んでいます。
フォアグラの濃厚なコクと塩気に、あんぽ柿のねっとりとした甘み。パリッとした最中の皮が食感を軽くし、フォアグラの余韻を残しながらも重たさを感じさせません。何度いただいても記憶に残る組み合わせです。

合鴨とツキノワグマのお鍋

黒い器によそわれた鍋。青梗菜と豆腐、合鴨とツキノワグマの肉が澄んだ出汁に浸かっている
合鴨とツキノワグマに、青梗菜と豆腐を合わせて

合鴨とツキノワグマに、青梗菜と豆腐を合わせた冬のお鍋。ツキノワグマの脂には澄んだ甘みがあり、野趣を感じさせながらも重さや癖は控えめ。
合鴨の濃い旨味も重なり、素材そのものはシンプルながら満足感があります。

焼きすっぽんとシラスの土鍋ご飯

土鍋いっぱいの炊き込みご飯。焼いたすっぽんと刻んだ青菜の上に卵黄の醤油漬けが5つ並ぶ
炊き上がった土鍋を、卵黄の醤油漬けごと見せてくれます

食事は、焼きすっぽんとシラスを使った土鍋ご飯。炊き上がりを土鍋のまま見せてくれるのですが、刻んだ青菜の上に卵黄の醤油漬けが並んだ眺めが見事です。
香ばしく焼いたすっぽんの旨味に、シラスの穏やかな塩気が重なります。炊きたてのご飯は粒が立ち、すっぽんの風味を受け止めながらも重たくなりません。

染付の器によそった土鍋ご飯。すっぽん、シラス、海苔の上に卵黄がのっている
よそったところ。卵黄を割っていただきます

途中で卵黄の醤油漬けを割ると、濃厚なコクが広がり、味わいが一段とまろやかに。
添えられた重ね漬けの歯触りと塩気も心地よく、箸が進む土鍋ご飯でした。

黄色い小皿にのせた重ね漬け。白菜、胡瓜、人参などを層に重ねて切ってある
野菜を層に重ねた重ね漬け

鴨熊鍋の出汁ラーメン

染付の椀に、澄んだ琥珀色の出汁と細麺、白髪ねぎをのせたラーメン
鍋の出汁を使った締めのラーメン

先ほどの鴨熊鍋の出汁を使ったラーメン。合鴨とツキノワグマの旨味が溶け込んだスープはコク深く、それでいて後口は意外なほど澄んでいます。
鍋として味わったときよりも出汁の輪郭がはっきりと感じられ、鴨の旨味と熊の脂の甘みが麺によく絡みます。

栗の葛焼き

染付の器にのせた四角い栗の葛焼き。表面に焼き色がついている
甘味は栗の葛焼き

甘味は、栗を使った葛焼き。表面は香ばしく、中はもっちりとなめらか。
葛のやさしい口当たりの中から、栗のほっくりとした甘みが広がります。

朱塗りの盆にのせた抹茶茶碗。鮮やかな緑のお抹茶が点てられている
最後はお抹茶で

最後はお抹茶のほろ苦さで口の中がすっきりと整いました。

お店情報

店名 銀座 しのはら
ジャンル 日本料理
住所 東京都中央区銀座2-8-17 ハビウル銀座II B1F
アクセス 東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅から徒歩2分(約150m)/銀座線ほか「銀座」駅から徒歩3分
電話 03-6263-0345
営業時間 月・水・金 17:00〜23:00/火・木・土 12:00〜15:00、17:00〜23:00(17時・20時30分の一斉スタート、昼は12時スタート)
定休日 日曜
席数 13席(カウンターのみ・個室なし)
コース おまかせコース35,000円(税込・サービス料別)※季節の食材による追加メニューあり
予約 完全予約制(OMAKASEのほか、電話は12:00〜15:00)
支払い カード可(VISA・Master・JCB・AMEX)/電子マネー・QRコード決済は不可
駐車場 なし(全席禁煙)
オープン 2016年10月6日(滋賀県湖南市から移転)

行く前に知っておきたいこと

  • 予約はOMAKASEから。毎月25日の午前0時に次回分の枠が開放されます
  • 17時と20時30分の一斉スタート。昼は火・木・土のみ12時スタートです
  • カウンター13席のみ・個室なし。大将の説明が聞こえる距離で食事できます
  • 八寸は月ごとにテーマが変わります。器や設えまで含めて季節を映すので、時期を変えて訪れる楽しみがあります
  • コースは35,000円(税込)にサービス料が別途。季節の食材による追加メニューが出ることもあります
  • コース料金や予約開始日は変わることがあります。来店前に最新の案内を確認してください

銀座 しのはら まとめ

華やかな食材を使いながらも、料理の根底にあるのは、日本の季節や郷土の文化を楽しんでもらおうという思い。
大将の説明や会話を通して料理の背景を知ることで、味わいがさらに印象深いものになります。

料理、器、設え、そしてカウンターに流れる空気まで含めて楽しめる日本料理店。
以前は予約困難店のイメージでしたが、今はだいぶ予約が取りやすくなったように思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

センスのいい店と、美味しい時間。東京を中心に、静岡・関西まで1,000軒以上を訪ね歩いています。掲載しているお店は、すべて自分が訪問し、撮影したものです。おいしかったものは、おいしかったと。好みと違ったものは、そう書きます。

目次