建て替えを経て、2019年に生まれ変わったオークラ
虎ノ門。
「The Okura Tokyo(オークラ東京)」は、4年の建て替えを経て2019年9月12日に開業したホテルです。
敷地には2つの棟が建っています。
17階建ての「オークラ ヘリテージウイング」と、41階建ての「オークラ プレステージタワー」。
2棟あわせて508室です。
今回泊まったのは、高層のプレステージタワーのほう。
設計は建築家の谷口吉生氏で、旧本館のロビーを設計した谷口吉郎氏のご子息にあたります。
ロビーに入ると、天井から連なる照明がまず目に入ります。
オークラ・ランターンと呼ばれるもので、古墳時代の切子玉から着想を得た形。
旧本館から受け継がれた意匠で、これを見るためだけに立ち寄る人もいると聞きます。
写真では伝わりにくいのですが、実物は思ったより大きく、そして静かです。
天井が低く抑えられているぶん、光の連なりが横に長く伸びていきます。
プレステージルーム(48㎡)
通されたのは、プレステージルームのキング。
広さは48㎡です。
入ってまず感じるのは、天井の高さと、家具の背の低さです。
壁付けの照明は行灯のような形で、ヘッドボードの布張りパネルが横に長く続いています。
天井のふちに間接照明が回っていて、光源が直接目に入りません。
新しいホテルですが、いわゆる「モダン」に振り切っておらず、和の要素が要所に残っています。
ベッドはキングで、サイズはW2,000×L2,150mm。
低い木のフレームに載っていて、ベッド自体の高さも控えめです。
窓際は造作のベンチソファ。
朱色の絞りクッションが置かれていて、この一点だけ色が強く入っています。
白い丸テーブルが2つ並び、あとで朝食をここでいただくことになります。
そしてこの窓、右端に東京タワーが入ります。
真正面にどんと構えているわけではなく、ビルの間から鉄塔の一部が覗く見え方。
座る位置を少しずらすと現れるので、探す楽しさがありました。
眺望
客室は28階から。アッパーフロアだと31階以上になります。
窓の外はびっしりとビルですが、正面に大きな緑がひとかたまり残っていて、そこだけ濃い色をしています。
さらに奥へ視線を送ると、うっすらと東京湾と橋が見えました。
丸みを帯びたタワーが左手に、そして右手には先ほどの東京タワー。
方角によって見えるものが変わるので、窓辺を歩いて確かめたくなります。
高層階からの眺めというと夜景を思い浮かべますが、この部屋は昼のほうが情報量が多いです。
ビルの形、緑の輪郭、その先の海。都心の地形が見えてきます。
デスクまわり
デスクは幅がしっかりあり、レザーのマットが敷かれています。
タブレットから照明やカーテン、ルームサービスの注文までできました。
クローゼットはウォークインで、バスローブが掛かっています。
このタイプだと、スーツケースを開けたままにしても居室が散らかりません。
水まわり
この部屋でいちばん驚いたのは、水まわりでした。
黒い石で統一された空間に、洗面・バス・トイレが並びます。
そして、窓がそのまま外に向いています。
黒い石ばかりの空間なので、ピンクのボトルがよく目立ちます。
狙ってこの色を選んでいるのだと思います。
石のカウンターの下は引き出しになっていて、アメニティ類はここにまとめられています。
シェービングフォーム、レザー、コーム、アメニティセット、歯ブラシが2つ。
それぞれ箱に品名が刷られていて、仕切りに一つずつ収まっています。
洗面台の上に物を並べないので、カウンターがいつも空いたまま。
必要なときだけ引き出しを開ける、という考え方でした。
隣の引き出しにはドライヤーとヘアブラシ。
ドライヤーは布の巾着に入っていて、袋には「HAIR DRYER」と刺繍が入っています。
プラスチックのケースに放り込んであるホテルも多いなかで、ここは袋から出す時間まで含めて設計されている感じがしました。
バスルーム
浴槽が窓に面して据えられています。
湯に浸かったまま、正面のビル群が見えます。
さらに、石の壁にテレビが埋め込まれている。
公式の設備一覧にも「バスルームテレビ」と書かれている、この部屋の標準装備です。
レインシャワーも別にあり、洗い場は広くとられています。
夜、部屋の照明を落として湯に浸かると、窓の外の灯りだけが残りました。
これは高層階のホテルでしかできない体験だと思います。
トイレは独立した個室。
バス・洗面・トイレが分かれているので、2人で泊まっても動線が交差しません。
ミニバーとお茶まわり
引き出しを開けると、金縁のカップとソーサーが並んでいました。
このあと朝食で出てくる器と同じもので、部屋の中でも同じ食器を使わせるのだ、と気づきます。
引き出しをひとつずつ開けていくと、どれも中身が整えられています。
ルームサービスの朝食
朝食はレストランに下りず、ルームサービスにしました。
窓際の丸テーブルに白いクロスを掛け、そこに並べてくれます。
ワゴンを置いていくのではなく、テーブルとして整えてから出ていくのが気持ちよかったです。
器はすべて金縁の白で統一されていて、ジュースは銀の器に入って出てきます。
朝食としては大げさなくらいですが、この大げさが朝の気分を変えます。
オムレツは、表面に焼き色をつけない焼き方。
きれいな黄色のまま出てきて、切ると中がとろりとしています。
ソーセージも2種類あって満足感があります。
トーストは厚切りで、布を敷いたバスケットに入って届きます。
温度が落ちないようにという配慮だと思います。おかげで最後まで温かいまま食べられました。
コーヒーは魔法瓶で届きます。
おかわりを頼まなくても、最後まで熱いまま飲めました。
窓の外を見ながら、時間を気にせず食べる。
レストランの朝食も良いのですが、この部屋の窓辺なら、ルームサービスを選ぶ理由が十分にあると思いました。
ホテル情報
| ホテル名 | The Okura Tokyo(オークラ東京) |
| 住所 | 東京都港区虎ノ門2-10-4 |
| アクセス | 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅から徒歩約5分/銀座線「虎ノ門」駅から徒歩約10分 |
| 開業 | 2019年9月12日(4年の建て替えを経て) |
| 構成 | オークラ ヘリテージウイング(17階建)/オークラ プレステージタワー(41階建)/全508室 |
| 泊まった部屋 | オークラ プレステージタワー プレステージルーム キング 48㎡ |
| ベッド | W2,000×L2,150mm |
| 客室階 | 28〜30階/31〜36階(アッパーフロア) |
| チェックイン | 15:00 |
| チェックアウト | 12:00 |
| 設計 | 谷口吉生 |
泊まる前に知っておきたいこと
- 2棟あります。今回のプレステージタワーのほかに、低層のヘリテージウイングがあります。ヘリテージウイングはクラブラウンジや朝食が料金に含まれる構成なので、予約時に取り違えないよう注意してください
- 客室は28階から。31階以上は「アッパーフロア」として区別されています。眺望を重視するなら、ここを指定できるプランかどうかを見ておくとよいです
- 東京タワーは真正面ではなく、窓の右手に見えました。部屋の向きによって見え方が変わるはずなので、こだわるなら予約時に相談するとよいです
- バスルームに窓とテレビがあります。この部屋の魅力の中心なので、夜に湯を張る時間を確保しておくのをおすすめします
- 敷地の約半分が庭園です。館内から眺められるので、チェックイン前後に少し時間を取ると印象が変わります
- 最寄りは虎ノ門ヒルズ駅ですが、坂があります。荷物が多いときはタクシーが楽です
宿泊料金の目安
一休.comの表示で、プレステージ キングが素泊まり2名・税込99,176円から(2026年8月時点)。
時期による差が大きいので、日程が決まっているなら早めに見ておくのが安全です。
泊まってみて
水まわりと、窓辺の使い方がうまいホテルでした。
浴槽を窓に寄せ、洗面とトイレを分け、石で全部を統一する。
そこにテレビまで埋め込んでしまうのはやりすぎかとも思いましたが、実際に使うと、湯に浸かる時間が長くなりました。
そして朝食を窓辺のテーブルで。
48㎡という広さは、ベッドと机を置いて終わりではなく、「窓際でもう一つ何かをする」ための余白として使われています。
ロビーのオークラ・ランターンに象徴されるように、建て替えを経ても受け継いだものがはっきりしているホテルです。
新しさと古さのどちらかに寄りすぎていないところが、いちばん好ましく感じました。