新富町で味わう、江戸前の誠実さと温かさ 鮨 はしもと

銀座や築地からほど近い新富町。
実力派の名店が集まるエリアですが、その中でも予約困難と言われる人気店が「鮨 はしもと」。
丁寧な仕事と温かい人柄で、多くの常連を魅了し続ける一軒です。
大将・橋本裕幸氏の確かな技と優しさ
大将の橋本裕幸(はしもと ひろゆき)氏は、日本橋蛎殻町「すぎた」および前身の「都寿司」で12年以上の修業を重ねた職人。
2014年に独立し「鮨 はしもと」を新富町で開業。
2019年には同エリア内で移転リニューアルを果たし、現在はわずか8席のカウンターで、洗練された江戸前鮨を握り続けています。
その腕前は折り紙付きで、ミシュランガイド東京では2021〜2026年まで連続で一つ星を獲得。
食べログアワードでも「Silver」を継続受賞しており、国内外の鮨ファンから信頼を集めています。
丁寧につくられる“つまみ”と男前な“握り”
コースはつまみと握りがバランスよく構成され、お酒とともにじっくり味わうのがおすすめ。
つまみはどれも塩梅が絶妙で、酒飲みにはたまらない品々。
思わずもう一杯…と手が伸びてしまう危険な美味しさです。
そして握り。一貫のサイズがやや大ぶりで、ネタの存在感がしっかり。
仕事の行き届いた魚と、丸みのあるシャリのバランスが絶妙です。
特筆すべきは、3種の赤酢をブレンドしたシャリ。
酸味の角を丸く整えたマイルドな味わいで、どんなネタにも寄り添います。
赤酢特有の香りがふんわり立ち、噛むほどに旨味が広がります。
つまみと握りのおまかせコース

つまみと握りのおまかせコースは36,300円 (税込・サ10%別)。
もずく、蓴菜

まずは夏らしくもずくと蓴菜でサッパリと。
本アラ、平貝

山葵、塩または醤油で。
本アラは適度な弾力と、噛むほど出てくる旨みが楽しめます。平貝はやわらかで甘さを感じます。
毛蟹茶碗蒸し

毛蟹の身がたっぷり入った贅沢な茶碗蒸し。
やさしい味でつるんと喉越し良いです。
鰻

濃いめに焼かれた鰻には、セロリを混ぜ込んだシャリで食感と軽さを。
前半に提供されても重すぎないバランスです。
鰯の海苔巻き

赤酢で締めた鰯を、大葉・ガリ・沢庵・芽葱と共に海苔で巻いた定番。
鰯の脂感と酸味、食感も楽しいです。
おつまみ3点セット

そのままでも美味しい塩気のある蝦蛄、甘く炊いたあん肝、身も骨も全て入ったほろ苦い鮎ペースト。
ついついお酒が進む組み合わせです。
えぼ鯛一夜干し

旨みが凝縮されつつもしっとり感も残ったえぼ鯛。
ほわっと立つ香りと、脂の乗りが美味しいです。
泥障烏賊

ここから握りへ。
細かく包丁が入った泥障烏賊は、ねっとりしすぎず食感も楽しめます。
咀嚼するほどに甘みが広がり、幸せの一貫。
シャリは酸も米の柔らかさもバランスが良く、とても好みです。
白甘鯛

くにくにとした弾力と、脂の乗り。
ハッキリと味の濃さもあるので、印象的な一貫でした。
中トロ

赤貝

身の厚さがあるので、シャクシャクッとした食感が楽しいです。
赤貝特有の昆布のような香りがまた美味しい。
春子鯛

しっかりめに昆布締めにしているので、ほわっとしつつ身の締まりと昆布の香りの余韻が続きます。
中トロ

大トロ

Jacquesson Cuvée 747

ジャクソンをいただきました。
栓を抜いて10日目、適度に酸が抜けていますが、思ったより発泡していました。
鯵

プリンと艶やかな身質。
香りも素晴らしく、「おっ」と目を見開く美味しさでした。
鱒の介

皮目に薫香をつけています。
薫香はかなり強めでインパクトがありますが、それに負けないくらい鱒の介の脂感と旨みがあります。
車海老

プリンと弾けるような車海老。
馬糞雲丹

綺麗なフォルムですが、口の中ですぐにとろけていき、甘みとクリアな香りが広がります。
穴子

他のお店では穴子の弱さを感じる時期でしたが、はしもとさんではそれを感じず。
甘辛い煮詰めを焼いた蒲焼きのような香ばしさがあり、うまくバランスが取れていました。
しじみお椀

ほっとひといきつけるしじみの出汁。
玉子

鮨はしもと まとめ
ボリュームしっかり、でもお酒が進んでしまうはしもとさんのつまみと握り。
全体を通して、奇をてらうことなく“真っ直ぐな鮨”を味わえるのが魅力です。
親方やお弟子さんのやりとりも楽しく、楽しいひとときを過ごすことができます。